続 渡慶次の歩み
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第10章
平成17年度(第44回)農林水産祭「天皇杯」受賞

はじめに

 
 農林水産祭は、農林水産物の収穫を感謝し、国民の農林水産業に対する認識を深め、農林水産業者の技術の改善や経営の発展、意欲の高揚を図る目的で、毎年11月23日の勤労感謝の日を中心に行われる国をあげての祭典である。この農林水産祭の参加表彰行事として全国各地で催された品評会、共進会、コンクール等で農林水産大臣賞を授与された出品財の中から内容が特に優秀な3点に「天皇杯」、「内閣総理大臣賞」、「日本農林漁業振興会会長賞」が授与される。
 2005年(平成17)5月、中部農業改良普及所より当渡慶次区が第44回農林水産祭むらづくり部門への推薦を受け、8月には農林水産大臣賞の内定、天皇杯等三賞候補に挙がった。むらづくり分科会委員による現地調査もあり、多くの区民の協力の下、先人たちが築き継承してきた渡慶次のむらづくりが高く評価され、三賞の中でも最高の「天皇杯」授賞が決定した。
 東京の明治神宮会館での授与式には23名の区民が参加し、11月27日に行われた授賞祝賀会には区民、来賓合わせて380名が参加し盛大に行われた。
 以下、天皇杯授賞記念誌およびむらづくり分科会による現地調査に合わせて作成された資料より天皇杯授賞の概要を紹介する。
 

1 天皇杯受賞の概要

 
むらづくり部門
出品財 むらづくり活動
沖縄県中頭郡読谷村渡慶次集落
 
 本集落は、都市住民との混住化が進む中で、ユイマール「協調・和衷(わちゅう)・助け合い」の精神の下、農業生産、伝統芸能活動、環境美化運動などにおいて、子ども達の参画も含め老若男女が一体となって取り組み、多彩なむらづくり活動を展開している。
 
 (1)ハウス栽培の導入などによる農業生産額の大幅な増加
 戦後の土地改良事業により生産基盤が整備され、長浜川ダムからの灌水(かんすい)が可能となり、サトウキビの一部を転換して、キク、パパイア、ゴーヤーなどのハウス栽培が盛んとなった。サトウキビの反収も県平均を上回るなど、渡慶次集落の農業産出額は、1995年(平成7)の9千万円から2004年(平成16)には1億5千8百万円へと約1.5倍伸びている。新規就農者もインゲン農家4戸(Iターン1名、Uターン3名)、パパイア農家4戸(Uターン)と増えるなど、農業の発展が地域活性化に大きく貢献している。
 
100300-パパイヤハウスを視察
パパイアハウスを視察する関係者
 
 山芋づくり同好会が山芋スーブ(重量による勝負)を開催し、自治会では子ども会育成会活性化のために、村特産の紅イモなどの植え付けから収穫までを体験させるなど農業にふれあう機会を創出している。
 
100300-農業体験捕場
子ども会の農業体験圃場
 
 (2)ユイマール精神による地域の諸活動の活性化
 本集落は、ユイマールの精神により、地域への愛着心や誇りとする心が育まれている。これが渡慶次まつりや区民運動会、集落内道路拡張工事における用地や労力の無償提供、婦人会による花壇の整備や、子ども獅子舞クラブの活動資金造成を兼ねた、空き缶・空き瓶回収などを行い環境美化活動にもつながっている。また、獅子舞、三線などの伝統芸能を子どもたちに継承させようと組織化している。中でも子ども会及び子ども獅子舞クラブは県内外の交流行事に参加し、後継者育成や青少年の健全な育成の場ともなっている。
 高齢者の活動も盛んで、青洋会やいぶし銀会が、伝統芸能の継承やミニ・デイサービスなどのボランティア活動に積極的に取り組み、世代間を超えた連携、交流、地域が一体となったむらづくり活動が活性化につながっている。
 
100300-空き缶プレス作業
子ども獅子舞クラブの空き缶プレス作業
 
 
 

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