続 渡慶次の歩み
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第10章 平成17年度(第44回)農林水産祭「天皇杯」受賞

4 中央審査委員による現地調査

平成17年度農林水産祭 天皇杯等三賞候補現地調査資料を紹介する。
 
100304-現地調査資料
 

 丸数字-16px-太-01 渡慶次と土地改良事業

 説明者 安田※※
(1)返還軍用地跡地に土地改良事業導入
 昭和20年沖縄での地上戦突入後米軍はいち早く、渡慶次の西海岸沿いにボーロポイント飛行場を構築し、本土爆撃を行ったB-29などの発進基地とした。戦争が終結し、昭和49年1月15日、日米合同委員会でこの飛行場用地の地主への返還が合意された。返還地域は次の通り。
 昭和49年8月15日返還
  184ha 飛行場の中央部分
 昭和49年11月30日返還
  71ha 北側の残波岬一帯
 昭和51年9月30日返還
  98ha 渡慶次・儀間一帯
 地主会ではこの返還軍用地の跡地利用に土地改良総合整備事業の導入を決定。返還地区毎に土地改良区を設立し、地主の積極的な協力と理解のもと完工した。
(2)灌漑かんがい用ダムの建設
 本村は土地改良事業と相まって、これからの生産性の高い近代農業を展開するには農業用水の確保が不可欠だと本村東部を流れる長浜川流域に灌漑用ダムを建設した。
 総貯水量160万トン、受益面積280ha、土地改良で施工した渡慶次地区の農地も受益地区に包含され、灌水している。
 畑地灌漑排水施設の整備により、反収・品質・雨待ち農業からの脱却が図られた。
(3)記念碑の建立
 戦禍の歴史を背負い、苦難の足跡を刻んだボーロポイントのゆかりの地が、未来永劫に平和で緑豊かな大地として発展することを記念して「大地悠遠」「豊穣大地」の記念碑を建立した。
 

 丸数字-16px-太-02 パパイア

 説明者 安田※※
(1)概況:平成13年に読谷果樹生産組合(農事組合法人:構成員4人)が、農業生産対策事業で鉄骨ハウスを導入し、パパイアの栽培を開始した。栽培面積は67aで、周年出荷を図り、農協を通し県内市場を中心に出している。
(2)品種:果物用の「サンライズ・ソロ」を栽培している。果肉の色は、赤みがかったオレンジ色で品質が良く、果物用の代表的な品種である。県内の果物用は、この品種が主体である。
(3)株倒し栽培:定植時に苗を斜めに傾けて植え付け、株を斜めに誘引する方式である。株を倒す事で、樹高を低く仕立て、収穫作業が容易になり、耐風性が高く、長期栽培(収穫)が可能となっている。
(4)らせん状仕立て:株倒し法の1つで、樹をらせん状に仕立てるやり方。通常の株倒し法に比べ株倒し作業が楽で、また樹高を低くできるため、収穫作業などの作業量が軽減でき、長期栽培(収穫)が可能である。
(5)人工交配:施設パパイアでは、高温期に開花した花は、不結実または、小玉化になる傾向がある。このため、夏期は人工交配し、着果、果実肥大を促進し、周年出荷体制の確立、反収の向上及び商品化率の向上を図っている。
(6)渡慶次産パパイアの市場実績:沖縄県中央卸売市場における渡慶次産パパイアは、県平均価格500円/sに比べ、690円/sと高値で取り引きされている。また、同市場における渡慶次産パパイアのシェアは、市場取り扱い量で20%台、販売金額で30%台を占めている。
 

 丸数字-16px-太-03 サヤインゲン

 説明者 山城※※
(1)概況:渡慶次区は平成14年度より沖縄県中部農業改良普及センターの「地域農業振興総合指導事業」を受け、指導事業の一環として4名の農家がサヤインゲン栽培に取り組んだ。
(2)目的・協力機関:新規品目の栽培技術の向上と長期栽培による反収の向上によって生産振興と所得の安定を図る。
 読谷村・JAおきなわ読谷支店、JA沖縄中部営農センターの協力で推進した。
(3)実施内容
1)品種 ケンタッキーブルー
2)栽植距離 畦幅1.5m、株間30p
3)播種日 10月初旬〜11月中旬
4)収穫 12月下旬〜5月上旬
5)目標 坪当たり5s
(平成16年度は10s増収)
・収穫:12p〜15p(商品価値が高い)
・出荷:主として県外市場
 インゲンは村栽培面積の63%を渡慶次で占めている。(次年度は4農家増える)
 

 丸数字-16px-太-04 ゴーヤー

 説明者 山城※※
(1)概況:ゴーヤーの栽培面積は、平成14年度の15aに対し、平成16年度は25aと増えている。現在、栽培農家数は10戸で、インゲンの後作品目として、栽培されている。
(2)品種:品種は、群星(ムルブシ)を栽培している。群星は、雌花の着生が多く、果形が良く、多収型の品種である。
(3)植え方:畦間170p、株間4m、畦高15p、通路60p、2条植え、ネット高180p
※2条植えにより、反収アップを図っている。また作業性を高めるため、ネットの高さを制限し、通路を広くとっている。
(4)交配:交配は花粉交配で、週に2〜3回行っている。
(5)台風対策:低コストの耐候性施設(JA427型)で栽培し、台風対策をしている。
(6)ハウスの高度利用:ゴーヤー栽培は、インゲンとの組み合わせにより、土地や施設の高度利用をすすめ、収益性の向上を図っている。
*インゲン+ゴーヤーの組み合わせ栽培
 インゲン:10月〜11月に播種
      12月〜4月まで収穫
 ゴーヤー:4月〜5月に植付
      6月〜9月に収穫
饐収穫:交配20日後に、250g〜300gの果実を収穫する。
饋出荷:県内外の市場に出荷している。
 

 丸数字-16px-太-05 山芋栽培

 説明者 玉城※※
(1)概況:渡慶次の山芋栽培は、山芋づくり同好会が山芋スーブ(重量勝負)や会員同志の情報交換を通して、生き甲斐づくりを図る趣旨のもと行われている。
 会員は、毎年12月に行われる山芋スーブに向け、栽培技術の研さんに励み、平成16年には、設立10周年記念フォーラムを開催した。これを契機に、地域における山芋栽培の機運は一層高まっている。
(2)土づくり:病気予防のため去年の蔓や葉は焼却する。去年の敷草用にしたススキはカッターで切って畑全面にばら撒き、堆肥や化成肥料も施して耕耘しておき、植え付けに備える。
(3)植え付け準備:植え付け場所を決め、直径130p位、深さ60p位の土を掘り起こしてから埋め戻し、そこへ50p位の盛土を作る。
(4)品種:丸数字1棒ヤマン
      丸数字2扇ヤマン(コーサーヤマン)
      丸数字3中紫色ヤマン
(5)植え付け時期:4月頃、芽が出始め植え付けするが、扇ヤマンは、1か月ほど芽の出が遅い。
(6)植え付け後の管理:ススキで敷草をし、ムカゴ防止に努める。敷草は土壌水分の蒸発を抑え、雑草防止の役目もする。また、圃場の雑草をこまめに抜き取る。
 適宜追肥を行い、干ばつになれば適宜灌水する。
 暴風対策では、台風情報から判断して行動。大型台風の接近となれば暴風ネットを被せ、蔓や葉の保護に努める。
(7)山芋スーブのPR:集落内、村内目抜きの所に幟(のぼり)や立て看板を設置。
(8)収穫 山芋スーブ(勝負):12月の第2日曜日、山芋づくり同好会のメンバーが各自の手法で8か月間丹精込めて作ってきた山芋のスーブの日である。全員公民館へ集合し、事務局から作業手順の指示を受け、2組に分かれて掘り取りへ。掘り取ってきた芋は公民館で計量、記録されて順位が決まる。
(9)山芋の即売:山芋スーブの日は別テントで山芋の即売も行っている。
 

 丸数字-16px-太-06 サトウキビ

 説明者 玉城※※
(1)栽培面積:約8.3ha
(2)作型:8〜9月植えの夏植が主体で、春植、株出は少ない。
(3)品種:農林8号、K1
(4)夏植えの月別の主な作業
 ・7月
 圃場の耕起、再耕起、畝立、基肥施肥
 ・8月〜9月 植付、補植、かん水
 ・10月〜11月 施肥、平均培土、かん水
 ・2月〜3月 施肥、高培土
 ・5月〜10月 かん水
 ・7月(以降)〜剥葉
 ・12月〜3月 収穫
(5)土地改良とサトウキビ
・土地改良や農道などの整備で、ハーベスターによる収穫作業やトラクターによる搬出作業などが容易になった。
・土地改良前には、起伏が激しく、狭小な土地が多かったが、土地の基盤整備により、これらのことが改善され、サトウキビの耕耘や管理作業等の効率化につながっている。
・当地の土壌は保水性が低いため、かん水施設が整備される以前は、干ばつの影響が大きく反収は低かった。施設の整備後は、反収が5.2tから8.6tへ大幅に向上している。
・灌水施設の整備により、雨待ち農業からの脱却ができ、夏場の乾燥時でも、計画的に作付けができるようになった。
(6)収穫:収穫は手刈り及びハーベスターで行われる。収穫したサトウキビは、うるま市の球陽製糖工場へ搬入されるが、平成15〜16年期は、503tの生産量であった。
 

 丸数字-16px-太-07 子ども会育成会農業体験学習

 説明者 玉城※※
(1)概況:農業体験学習は地域農業振興総合指導事業の導入をきっかけに、子ども会育成会が中心となり、取り組まれた。読谷村の特産品である「紅イモ」を始め、ニンジン・ジャガイモ・玉ネギ等の体験学習を行っている。
(2)目的:子ども達に父母や地域の人たちと共に、農業体験学習を通して農業の厳しさや楽しさ、収穫の喜びなどを経験することで農業に対し理解を深めてもらい、その中から自然とふれ合う喜びを知ってもらう。
(3)活動実績
時期 品目 内容 参加者
平成16年6月 紅イモ 植え付け 57名
11月 ニンジン・じゃがいも・玉ネギ 植え付け 45名
12月 紅イモ 収穫 45名
平成17年3月 ニンジン・じゃがいも・玉ネギ 収穫 50名
5月 紅イモ(沖夢紫、備瀬、ハワイ紅) 植え付け 50名
11月 紅イモ 収穫 45名
 
(4)成果
1)体験学習の中で、子ども達が農業への理解を深め、親子のふれ合う場が増えた。
2)紅イモを素材として取り上げたことにより、地域特産品への理解を深めた。
3)収穫物は、販売し、子ども会育成会の活動資金として会の運営にも充てた。
4)渡慶次での取り組みが村内の他地域へ広がり、波及効果が出た。
5)活動内容がマスコミで取り上げられ、紅イモが村内外に広くPRされており、特産品の知名度アップにも貢献した。
 

 丸数字-16px-太-08 渡慶次子ども獅子舞クラブ

 説明者 玉城※※
 空き缶・空き瓶回収作業
(1)目的:子ども達にゴミの減量化や再利用意識を与えると同時に、親子で作業をすることにより、仲間づくり、親子のふれ合いづくりなどを図り、心豊かな子どもの育成を目的とする。
(2)活動開始時期:平成9年
(3)主な活動:空き缶・空き瓶の回収、分別・プレス作業
〔回収方法〕
 各家庭や祭りなどで出た空き缶・空き瓶を父母や子ども達が回収し、集積所へと集める。
 回収は集落の住民の協力を得ながら行っている。
〔プレス作業〕
 2か月に1回の割合で集積所へと回収された空き缶のプレス作業を行う。作業には親子であたっている。
(4)活動の副次的効果
・活動資金づくり
 

 丸数字-16px- 太-09 渡慶次農村運動広場

 説明者 山城※※
(1)経過概要
・字有地を沖縄ハム総合食品株式会社へ売却
・売却金で運動広場費用に充てることを決議
・「沖縄農業構造改善モデル地区整備特別対策事業」を導入
・7か年で用地取得等諸課題を解決
・昭和62年、工事竣工
(2)運動広場建設の目的
1)集落近くに運動広場を建設し、区民が等しく活用できること
2)体育振興及びスポーツ活動を通して体力の向上・維持・増進を図る
3)諸活動を通して望ましい地域共同体を作る
4)農村にも都市化現象が進む中、地域の連帯意識の高揚に役立つこと
(3)活用状況
1)区主催
・父の日ソフトボール大会(班対抗)
・門中・ファミリーソフトボール大会
・区民運動会
・渡慶次まつり(ゲートボール・グラウンドゴルフ)
2)任意団体
・ウラシマ(シニア)ソフトボール愛好会
・少年野球
・少年サッカークラブ
・グラウンドゴルフ同好会
3)他集落運動会
4)ナイター施設利用団体
 

 丸数字-16px- 太-10 渡慶次婦人会 環境美化の取り組み

 説明者 仲村※※
(1)渡慶次婦人会概要:大正7年に結成
目標:女性の地位向上を図る、青少年の健全育成、逞しい子ども達が育つ環境づくり、地域の環境美化
活動:研修会、講習会等の開催…学習の場、ふれ合いの場として会活動を展開
(2)環境美化への取り組み
目的:潤いのある住みよい地域・環境づくりを目指す
取り組み内容:公民館周辺の花園づくり、ゴミの減量化、古紙回収等
取り組み状況:毎月第2土曜日が花壇手入れの定例日
花の手入れや灌水作業は会員が当番制により行う
実績:
昭和55年 第10回沖縄県婦人会連合会主催全沖縄美化コンクール
団体の部 優秀賞受賞
平成13年 第12回全国「みどりの愛護」のつどい
団体の部 県知事賞受賞
平成14年 第13回全国「みどりの愛護」のつどい 団体の部 功労者
国土交通大臣賞受賞
平成14年 第32回沖縄県婦人会連合会主催全沖縄美化コンクール
団体の部 優秀賞受賞
(3)記念碑の建立
平成12年度、渡慶次婦人会創立80周年記念事業を契機にモニュメントを建立
 
 

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