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第6章 渡慶次の産業経済と基盤整備
第1節 土地改良事業
2 渡慶次地区土地改良区
◎[写真]本編参照
土地改良区の航空写真 広々とした農地が連なる
(1)土地改良区章
渡慶次土地改良区章
このマークは、とけし土地改良区の「と」、「土」を図案化した。円と直線で構成してあるが、円は安定した農業経営を表し、直線は農業の生産性の向上を図る広い圃場を表現した。
図案者 山内※※
(2)記念碑
◎[写真]本編参照
豊穣台地の碑
(3)記念碑周辺
◎[写真]本編参照
豊穣台地の碑周辺
(4)解説
沖縄の土地制度は、長期に亘り共有の地割制度から沖縄県土地整理法発布1899年(明治32)によって所有権が認められる私有地制度へと改革されたが、太平洋戦争によって公図公簿等の登記書類が焼失した。その上、渡慶次地域は軍用地として接収され、地籍境界が全くわからないほど荒廃した状態にあった。1946年(昭和21)に琉球列島米国海軍政府指令によって、戦後の土地所有権認定事業が実施され、1951年(昭和26)4月1日から所有権証明書が交付され個人の所有権が確認された。しかし、戦後の混沌とした状況下での地籍確定作業のため不備欠陥が多かった。
1976年(昭和51)9月30日に軍用地が返還されると同時に跡地利用推進協議会を発足させ1977年(昭和52)地籍調査が実施された。原形が破壊された境界不明地域の地籍確定作業には幾多の困難をきたしたが全地主の協力により完了した。
この地域は、戦前肥沃な土地であったが1945年(昭和20)4月1日米軍の上陸地点となり、本土攻撃を目的としたボーロ飛行場が構築されコーラルが数十センチも敷かれ荒漠とした中で地主は点散したわずかな耕作地を求め、細々とした農業を30年余も余儀なくされた。1982年(昭和57)に土地改良事業が認可され荒廃した地域が素晴らしい圃場に生まれ変わり、気候風土の特性を活かした作物が一面に黄金の花を咲かせ農業が営まれるよう「豊穣台地」の碑を建立した次第である。
今後はこの地域が農業振興に大きく寄与し、若者が夢と希望を抱ける緑豊かな台地として発展することを期待する。
(5)農業基盤整備
◎[写真]本編参照
土地改良看板
(6)渡慶次土地改良区役員
理事長 | 与那覇※※ |
副理事長 | 玉城※※ |
工事担当理事 | 山内※※ |
換地委員長 | 山内※※ |
会計担当理事 | 与那覇※※ |
事務担当理事 | 大城※※ |
評価委員長 | 町田※※ |
理事 | 玉城※※ |
理事 | 知花※※ |
換地委員 | 山内※※ |
監査員 | 松田※※ |
監査員 | 儀保※※ |
(7)位置図
渡慶次土地改良区
◎[写真]本編参照
1945年(昭和20)12月米軍撮影航空写真及び、
「渡慶次土地改良区記念誌」p.9をもとに作成
(8)事業概要
補助事業の名称 | 土地改良総合整備事業 |
事業実施主体 | 渡慶次土地改良区 |
対象箇所 | 読谷村渡慶次地内 |
事業実施年度 | 1982年度(昭和57)〜1989年度(平成元) |
総事業費 | 219,244,000円 |
国補助金 | 163,622,000円 |
県補助金 | 27,809,000円 |
村補助金 | 21,571,000円 |
受益者負担 | 6,242,000円 |
事業量 | |
幹線農道工 | 613.4m |
整地工 | 23.7ha(総面積26.7ha) |
排水路工 | 4,645.6m |
支線農道工 | 3,244.3m |
沖建コンサルタント(松竹※※)
1982年度(昭和57)(設計)
(株)諸建設(諸見里※※)
1983年度(昭和58)(工事)
山中組(山内※※)
1984年度(昭和59)(工事)
敏昭組(玉城※※)
1985年度(昭和60)(工事)
(合)山内土木(山内※※)
1986年度(昭和61)・1988年度(昭和63)(工事)
(有)新垣土木(新垣※※)
1987年度(昭和62)(工事)
(有)儀間組(儀間※※)
1989年度(平成元)(工事)
沖縄県土地改良事業団体連合会
1989年度(平成元)(換地)
(9)施工前・施工後
◎[写真]本編参照
施工前
◎[写真]本編参照
施工後
(10)事業経過
年代 | 月日 | 事項 |
1974年(昭和49) | 6月30日 | ボーロポイント返還軍用地地主会結成 |
1976年(昭和51) | 9月30日 | ボーロポイント中地区返還(渡慶次土地改良区) |
1979年(昭和54) | 6月6日 | 渡慶次跡地利用推進協議会(土地改良事業導入決定) |
10月11日 | 農業振興地域への編入要請(字渡慶次から村へ) | |
12月1日 | 地籍調査の成果が認証される(渡慶次地区) | |
1980年(昭和55) | 5月24日 | 渡慶次土地改良区設立推進委員会(第1回総会) |
11月10日 | 役場農地改良課にて仮同意書の再調査その後、ヒヤリングは役場農地改良課、中部農林土木事務所、県耕地課と頻繁に行う | |
1981年(昭和56) | 2月1日 | 土地整備事業の一環としてコーラルの撤去作業始まる(11日まで) |
2月24日 | 森岡コーリー(株)とコーラル撤去作業の精算 | |
4月22日 | 渡慶次土地改良区設立推進委員会(第2回総会) | |
6月13日 | 渡慶次地区内の埋蔵文化財調査のため工事が一時中断 | |
10月30日 | 畜産団地の件で役場職員、農協職員、地主役員三者の話し合い(役場会議室) | |
11月29日 | 本同意取付け(渡慶次公民館) | |
1982年(昭和57) | 5月25日 | 渡慶次土地改良区設立推進委員会(第3回総会) |
7月12日 | 渡慶次土地改良区設立認可申請書(適否の決定) | |
9月2日 | 設立認可(沖第123号) | |
9月10日 | 渡慶次土地改良区設立総会 | |
1983年(昭和58) | 2月8日 | 委託設計業務始まる |
4月9日 | 第2回通常総会 | |
7月18日 | 起工式 | |
1984年(昭和59) | 3月29日 | 第3回通常総会 |
1985年(昭和60) | 3月19日 | 第4回通常総会 |
1986年(昭和61) | 3月30日 | 第5回通常総会 |
1987年(昭和62) | 3月17日 | 第6回通常総会 |
1988年(昭和63) | 3月8日 | 第7回通常総会 |
1989年(平成元) | 2月28日 | 第8回通常総会について第4回理事会で話し合い(通常総会期日不詳) |
1990年(平成2) | 3月30日 | 第9回通常総会 |
5月25日 | 換地清算金の支払い | |
9月27日 | 登記済証の交付(清算金の再徴収) | |
1991年(平成3) | 1月29日 | 会計検査(国) 平成元年度・本換地業務について |
3月26日 | 施設(道路側溝、沈砂地等)の無償譲渡及び維持管理(村へ要請) | |
4月10日 | 第10回通常総会(解散議決) | |
7月18日 | 解散認可(沖縄県指令農第1467号) | |
1992年(平成4) | 10月28日 | 清算総会 |